「戦後日本における自主制作アニメ黎明期の歴史的把握-1960年代末-1970年代における自主制作アニメを中心に-」(財団法人徳間記念アニメーション文化財団2012年度アニメーション文化活動奨励助成成果報告書/自主出版・冊子)が3月31日に発刊されました。
名著「日本アニメーション映画史」(1978年/渡辺 泰・山口 且訓 共著、プラネット:編集、有文社刊 ※アマゾンのページにある”山口 且訓・編”という表記は誤り)をはじめ、数々の先行研究、そして映産労の古い資料などが多数引用されています。映産労がよびかけて制作された、テレビの商業アニメーションのアニメーターらによる自主制作アニメーション「つるのすごもり」(1971)についても触れられています。この作品がおおやけの記録でとりあげられるのは、「日本アニメーション映画史」以来のことではないでしょうか。
かつて、東京都現代美術館やスタジオ・ジブリ系の展示があったとき、故・近藤喜文氏も関わっていたこの作品(つるのすごもり)の資料が存在することを申し出たことがあるのですが、断られてしまいました。労働組合や労働運動のことは除外して展開したいのかなともおもいました。
今回の報告書冊子は、今まであまり学術調査の研究対象とならなかった、アニメーションの自主制作や、戦後商業アニメーションの労働環境の問題などが、多岐に渡って取り上げられています。
この真摯な姿勢も「日本アニメーション映画史」が備えていた公正・客観の視点と共通するものがあります。(管)