![]() by anirepo アニメレポートとは
ネット版アニメレポートは、映産労(映像文化関連産業労働組合)アニメ対策委員会の公式ページです。 映産労は、1965年(昭和40年)に結成された労働組合法にもとづく個人加盟(オープンショップ)労働組合です。映像・文化関連の仕事で働く人なら誰でも加入できます。 ガリ版刷りのペラのレポートに始まり、1975年(昭和50年)には、不定期のアニメれぽーと(B5版冊子)がはじめて発行されました。商業アニメーションの現場で働く、オープンショップ組合員たちの手によって発行された、日本ではじめての本格的・小冊子の登場でした。 制作現場の実態を、だれにもわかりやすく伝え、改善の手立てにする目的で、発行は1980年代の半ばまで続いたのですが、その後、編集体制を維持できず、休刊となっていました。 2005年、インターネット版として、アニメレポート(当ウエブログ)を復刊させました。 非営利・学習・研究目的により運営しています。 アニメーションの仕事は1年中厳しいスケジュールに追われたままの状態なので、編集会議などあまり開けませんが、全国に点在した組合員が、自宅からそれぞれ記事を投稿しています。 This page is blog of "Eisanro".In Japan. We are open shop's labor unions of a movie, television, animation, and a culture industry. ★連絡先(Contact): ブログ管理人(アニメレポート編集部/アニメ点在有志)mall: bbnka☆excite.co.jp (☆を@に変えてください) ※映産労・連絡先&mall: >管理人までお尋ね下さい。 ※掲載している内容の、無断転載をお断りいたします。 ※出会い系サイトや成人向けHPへの誘導など、マナー違反の書き込みが多いのでコメントやトラックバック機能はしばらくお休みします。 ★リンク ●映画演劇アニメーションユニオン ●映画演劇労働組合連合会(映演労連) ●日本民間放送労働組合連合会(民放労連) ●全国労働組合総連合(全労連) ●アニメーションミュージアムの会公式ホームページ ●NPOアニメーションミュージアムの会公式ブログ ●NHKと日本民間放送連盟によるアニメーション等の映像手法について ●テレビ東京によるアニメ番組の映像効果に関する製作ガイドライン ●子供を守ろうSave Child ●ナノハナ:nanohana ●日本の大気拡散予報(日本語スイスサイト) ※全国に点在する映産労の組合員の皆さんへ ・身のまわりのニュースや情報を編集部あてに送ってください。ネット版アニメレポート掲載用の記事もお待ちしています。メールで可。 ・記事情報の誤り等ありましたら、メールでお知らせください。 ※一般の方々のご意見ご感想もお待ちしております。 検索
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テレビアニメーション1本の制作費要求額:2300万円という数字について
先月行われた、労働組合団体とテレビ局との懇談の席でも「組合側の引き上げ要求額」は、適当な数字を並べているわけではなく、「憲法や各法律に準じ、スタッフがまっとうな生活ができるようにするため、割り出した数字」であることを、組合側は伝えました。 現在の要望書をテレビ局に申し入れる以前、各組合間では議論や検討、調査を長い間続けていました。 当初はスタッフの賃金(もしくはギャランティ)だけを盛り込んでいましたが、1980年代中ごろから、セル・シート・動画用紙などの材料代、台本の印刷代、下請け会社の実質的な収入にあたる管理費の追加など、アニメーション経営者や声優らの協力も得て、細かくまとめていきました。 下請プロのピンはねをなくすためには 現場に働くスタッフからすれば、どの下請けプロダクションにいても、動画や原画などの1枚単価は統一してほしい(ピンはねはやめてほしい)という希望もあると思います。同じ作品に同じ仕事量でかかわる場合、会社によって単価が違うのはおかしな話です。 この件については、数年前、非公式にある製作委員会に加盟する広告代理店にきいたところ、「私たちは製作管理費をちゃんと支払っている。単価は均一にできるはずだ」という回答をもらったことがあります。 しかし、おおもとの制作費の現在の平均額は、要求額の2分の1以下という安さ。テレビ東京などは、「1本2300万円で作ったらアニメ文化が無くなってしまう」とコメントしていますが、はたしてアニメーション制作は、仕事なのか、国でいうビジネスなのか、ボランティアなのか、それとも趣味・または奉仕なのか…。 アニメの制作現場では、何十年間も、その台所事情が、全社員・スタッフにほぼ筒抜けの状態が続いてきました。安い制作費のなか、下請けプロダクションの中には、いったいどうやって経営を維持できているのか、実に不思議でもあります。いっぽう、「下請けプロ(会社)の経営も大変なのだから仕方が無い」、という意識も、スタッフ・労働者の心のどこかにあるとおもいます。 労働組合の組織率の問題 前回、労働人口(業界人口)の資料のひとつを掲載しましたが、下の資料(1990年頃の資料)では、当時の組合員人口についても少し触れられています。 「声優さんたちは、100%近い人々は日俳連に参加していて、その地位の向上と権利を守るために協力しあっています。 アニメの制作現場で労働組合に参加している人々は、映産労、東映動画労組、東京ムービー労組、映演アニメユニオン準備会に参加する150名ほどです。この組織率の悪さが現状をひどくしているともいえます」と記されています。(4ページ目、下へ) しかし、戦後から、おもに歴代自民党政府や、保守的な層によって、労働組合への印象攻撃は 繰り返され、いまも橋下市長、石原都知事などがそっせんしておこなっています。この攻撃のポイントは、激しく、そして怖い言葉を使用して、日常生活の中に、心理的な恐怖を持ち込むところにあります。そのため、「労働組合にかかわるのはやめよう」という人が多数を占めるのは当然ですし、現に、最盛期と思える1960~1970年代に比べると、アニメーションの労働組合への組織率は年々下がっています。 いまこそ、過去の経験に立脚しつつも、真実を見抜き共有するため、生活を守るため、そして再び戦争をおこさないための新しい方法が必要であると考えています。 ささやかなことですが、このレポートでも、なるべく労働組合用語的な表現はさけるように少し注意しています。たとえば、「在京キー局」→「テレビ局」、場合によっては穏やかな話し合いが持たれた場合には、「団交」→「懇談」などという表現に変えるようにしています。 愛川欽也氏はネットラジオ放送を、上杉隆氏は、まったく新しいメディアを立ち上げると今年発表しました。特に福島原発以降、規制のテレビ・新聞に疑問をもった人も多くなり、インターネットなどを利用した独自のチャンネル、フリージャーナリズム、新しい自主的な報道組織などが、今まで以上に注目されているような気がします。労働組合も、長い年月蓄積した経験や資料などを生かした、新しい方法論を加味してもよいのではないかとも思います。(ア点) ↓1980年代後半~1990年頃に、まとめあげられていった要求案の内訳。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 以下の表は過去の記事に掲載した表(再掲載)。 ![]()
毎年、春闘と年末闘争時に民放労連(日本民間放送労働組合連合会)と映演共闘(日本映画演劇共闘会議)が共同で実施しているキー各局(民放テレビ局)・民放連(日本民間放送連盟)への申し入れを、今年も3日間にわたり行ないました。
最終申し入れ日である11日の午後に地震が来たので、レポートが遅れましたが、時間を見ながら、少しずつUPしていきたいと思います。 ![]() 上記は喫茶店(※1)のコーヒー1杯と、テレビアニメの動画(※2)1枚単価(いずれも平均)の比較図です。 多少の幅はあるとしても、それでも、年々、喫茶店のコーヒー1杯と動画1枚の値段の差は大きくなるばかり。 これは動画だけの問題に留まりません。 ある下請会社の制作さんの初任給は見習い期間と称して6万円。30歳近くになって初めて11万に。365日24時間、ほとんど休めません。職場で倒れ救急車で運ばれたことも。 あるテレビアニメ(関東ローカル+CS)の監督の監督料は30分番組1話あたり「10万円」。同じく24時間365日ほとんど休めません。勿論、作品の二次使用料(ロイヤリティ)や、契約書などは皆無。現在、生活保護でも月12万円の金額がもらえます。 各会社のアニメーターの募集説明では「1年間は見習いとして無報酬を覚悟してください」「一人前にならない限りお金を受け取ってはならない。それが本当のプロ」「ただで仕事がおぼえられる。専門学校に行くよりずっとお得」「まともな生活はできません」というような旨の文章が記載されています。 さらにこれ以上消費税が上がったら、いったいどうやって生活すればよいのでしょうか。 1980年代、テレビ朝日系「ニュース・ステーション」では、最低ランクの仕事として「アニメーター」を紹介、全国に放送されました。 ある下請会社に、税務署がいきなり抜き打ち調査に入りました。しかし帳簿を見てあきれ果て、無言のまま帰っていきました。 現在、「夢」を売りに、多くのアニメや声優の学校が乱立していますが、いったいどれだけの人がまともな仕事にめぐり合えるのでしょうか。 多くの前途ある子供や若者の視聴者を前に、こういうシステムを作り上げた大人、そして長年こういう状況を放置してきた国の責任は重大です。 (※1)喫茶店…ここでいう喫茶店は、テレビアニメ放送時より存在する単独店舗型の喫茶店です。ドトール・コーヒーやスターバックスなどの、チェーン店ではありません。 (※2)動画…原画に沿って、キャラクターや小物の線を鉛筆等で描き、原画と原画の間に何枚もの絵を入れ動かす仕事です。実際に放送される最終的な線画にまとめあげる役職といえます。その線画は別のスタッフによって色を塗られ、背景が付けられます。完成したセル画は、膨大な数・膨大な用途に複製・売買・利用され利益を生みますが、動画や原画を担当するアニメーターには1銭も入ってこないどころか、会社が倒産や夜逃げ等で未払いのままになるケースもあります。ほとんどの会社が、タイムカードも雇用契約も業務委託契約書も存在しないので労働基準監督署も法律相談所でも取り扱ってくれません。 関連記事:テレビアニメの動画1枚単価と喫茶店のコーヒーの関係
私たち映産労と、映画、演劇、アニメ、舞台美術、テレビ局などの他の労働組合(個人加盟の組合を含む)は、お互い力を合わせ、長い年月をかけて、ようくやく近年、放送局との交渉の場を実現化させています。
スケジュールの改善や番組制作費の値上げなどを求めて、毎年、テレビ東京、テレビ朝日、フジテレビ、TBS、日本テレビ、民放連に、要請行動を行っています。 今後は、視聴者を含めて、もっと多くの人で、局と意見交換できる場ができると良いと思います。 アニメの現場で働く皆さん、そしてテレビアニメの視聴者の皆さん、以下の「要望書」が、実際、各テレビ局に毎年手渡されている事だけでも、知っておいてください。そしてぜひ組合に参加し、この要請行動にも一緒に参加してください。 個人でテレビ局にかけあいに行っても、先方はなかなか会ってくれません。 しかし、ただでさえ膨大な仕事量、過密スケジュールの中、仕事以外の事に時間をさくのは、かなりきついのですが、実際に行動にうつさなければ、何も変わらないと思い頑張って参加しています。 ↓画像をクリックすると大きく表示されます ![]()
↓クリックするときれいに表示されます。
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戦前や戦後の労働運動の経験の上にたち、「映産労」が創立したのは1965年。私は、1983年に組合に入りましたので、それ以前の事は直接知りません。
日本の映画の自主製作運動には、様々な歴史があります。しかし、この「アニメの自主製作運動」を簡単に説明するとすれば、「アニメ界の現状に満足できない、それなら自分たちの手で作品を作ろう」という事であると思います。 このアニメ映画「つるのすごもり」は、16ミリ・18分。1971年、読売ホールで公開されました。 平均年齢21歳、延べ参加人員80名。アニメーションの現場で働く技術者達が自ら、本格的に完全自主製作したアニメ作品は、もしかしたらこれが初めてかもしれません。 「日本アニメーション映画史」(有文社刊)などの文献によれば、「つるのすごもり」は、映産労の呼びかけによって、東京信濃町の旧労音会館の一室をスタジオ兼製作センターとし、東映動画(現東映アニメーション)、東京ムービー(現トムスエンターティメント)、TCJ(現エイケン)、虫プロ、竜の子プロ、Aプロ(現シンエイ動画)などで働く労働者達が、それぞれ勤務の余暇を割き、3年がかりで完成させた、と紹介しています。会社に内緒で参加した人が多かったらしく、スタッフロールには多くのペンネームが並んでいます。(演出・作画監督の斎藤和男は芝山努氏のペンネーム)。 当時、制作にかかわっていたスタッフの1人、故・近藤喜文さんが、当時を知る貴重な資料を大切に保存されていて、それらを組合に寄贈して頂いているので、その一部をご紹介します。尚、映産労では「つるのすごもり」唯一のノーカット版上映用プリントを保存しています。 ※画像をクリックすると拡大し読みやすくなります↓ ![]() ↓夜間や日曜日を利用して制作を進めていった様子が伺える「巣ごもり通信」(2枚とも、原版はB4サイズのわら半紙にガリ版印刷) ![]()
最終回
このシリーズは、映像新聞(2005年1月17日、24日、31日)に連載されたもので、この回で最後です。ご愛読、ありがとうございました。また、掲載を快諾してくださった執筆者の伊藤裕美さん(オフィスH〈アッシュ〉)と、映像新聞社のご協力に心から感謝します。 ◆投資家から資金調達 政府が推進するアニメ振興策の目玉とされる、投資家からの製作資金調達方法は歓迎すべきことである。不動産担保に乏しい制作会社は金融機関から融資されにくいため、将来作品の債券化や完成保証制度等が整備されれば、状況が変ることに期待が寄せられている。しかし投資家は、できるだけ少ないリスクで高いリターンを期待するのだから、“当たりそうな”企画が好まれ、結果として同じようなものに資金が集中することになるのではないだろうか。たとえば、キャラクター玩具などのライセンス商品化が難しいものは門前払いされ、斬新なアイデアでもヒット実績がなければ投資対象から外されることを心配する声は強い。また、作品の著作権保有と利益シェアが可能な製作委員会に参加する場合や新しい市場へ進出できる国際共同製作などの場合に中小の制作会社は応分の分担金を担えないことがある。あるいは、企画段階で必要となるプリプロダクション経費は投資対象にされにくい。結局、資金調達力がある企業や過去のヒット作の続編やリメークなどの企画へ資金が回り、資金の偏りを根本的には改善できないのではないかと懸念する。ヒット傾向のものでも、二番煎じ・三番煎じが続けば市場に飽きられる。多様性がなくなれば、創作の活力も失われる。アニメーション事業者協会の伊藤叡代表なども、新しいアイデアを潰さないために企画段階から支援できるような方策を求めている。フランスではCNC等の公的機関がその役割を担うことで、フリーのプロデューサーが活躍できる場を担保している。優秀なプロデューサー候補を育てても、機会を提供しなければ、人は早晩去っていく。 テレビアニメが誕生して、今年で42年となる。人間であれば青年期を過ぎ熟年期に差し掛かる年齢である。構造的な問題を早急に改善し、世界に誇れるアニメーションの花を枯らすことなく、これからも咲かせ続けて欲しいものだ。 (オフィスH 伊藤裕美) ★右のマンガは アニメーターの青井スミレさんです。
その8
この内容は、映像新聞(2005年1月17日、24日、31日)に連載されたものです。執筆のオフィスH(アッシュ)の伊藤裕美さんと、映像新聞社のご協力に心から感謝します。 ◆各国の取り組み 欧州には参考となる先例がある。フランスでは国立映画庁(CNC)は劇場入場料の一部を徴集し、制作支援、人材育成、国際フェスティバル助成など様々な用途に分配している。また、プロジェクト契約のフリーが多いため、社員でなくても失業補償が受けられるアンテルミタン制度を60年代末から充実させてきた。テレビアニメの制作予算も、かつては日本の4~5倍、現在でも2~3倍程度高いため、社会保障などを含めたアニメーターの受取総額は高い。欧州の著作権二次使用ビジネスは発達途上であるため、いまだにテレビ放映やビデオ販売などが制作会社の主な収益源となっている。しかしEU統合拡大があり、国内だけでなく域内ビジネス、そして北米マーケットへの販売を前提とする資金調達とビジネス計画が広まりつつある。テレビ局主導の企画でなくとも、フリーのプロデューサーや制作会社がそれを担う。あるいは、そのような持込企画をテレビ局が、グループ内の版権管理・販売会社を通じて国際的に販売し、著作権を保有する制作元会社に収益が入る仕組みだ。フランスでも市場拡大の方策や国際的なビジネスモデルの確立に努めているが、国内で制作する人々の生活保障まで含めた施策と車の両輪である。 ![]() またプロデューサー養成では、ドイツのフィルムスクールが効果的な教育を行っている。一例を挙げると、バーデン・ヴュルテンベルク州立フィルムアカデミーでは、実務経験ある者を優先的に入学させ、技能向上の機会を提供している。プロデューサー志望学生は、4年間の在学中に学生作品8~10本のプロデュースと1年間のインターンシップを行わせる。学生作品は短編アニメーションではあるが、様々な職能志望学生とチームを組み、学外の制作会社などにもサポートを働きかけ、制作予算とスケジュールを順守する姿勢を身に付けられる。経産省の方針を受けて、日本でも国立大学や民間企業のプロデューサー養成講座が始まっているが、プロデューサー単体の講座や座学でなく、実際に多くの制作ができる場が必要ではなかろうか。学校だけでなく、制作会社内で制作進行からプロデューサーへ成長させられる余裕を作り出すことも不可欠だろう。 映像新聞は、㈱映像新聞社が毎週月曜日に発行しているタプロイド版の業界新聞です。 Welcome to EIZO Shimbun 一部630円 ㈱映像新聞社 ℡ 03-3942-2581 ファクス 03-3942-2581
その7
この内容は、映像新聞(2005年1月17日、24日、31日)に連載されたものです。執筆のオフィスH(アッシュ)の伊藤裕美さんと、映像新聞社のご協力に心から感謝します。 ◆対等なビジネス関係 日本では約3500人の現役アニメーターがいると推計されているが、アニメーション演出家の有原誠治氏は、週100本のテレビアニメ制作が国内の制作力を大幅に超過することを示す試算を行った。 20分番組で、原画325カット、動画3000枚を要すると下図の通りになる。 ![]() 実際には稼動可能な原画家は1660名もおらず、1人が原画4~5カット消化して、現在の週80本程度を支えている。動画も、過労状態で1人が1日に20枚程度は描けるとしても、1660名では国内制作できる上限は70番組以下となる。この試算から、国外外注が、人件費が安いという理由からだけでなく、国内の制作力を補うためには必然であることが伺える。アニメ業界に追い風が吹いているとはいえ、作画力や想像力、すなわち人の能力に依存する割合の高い産業で国外への外注ありきの展開が続けば、空洞化の弊害が取り返しのつかない形で遠からず起こるであろう。言い方は悪いが下手な鉄砲も数打てば当たる式で、受注が有るからといって週100本も制作するのは異常な事態であり、アニメ業界の自殺行為になりかねない。韓国や中国などでは、これまで日本の下請けを行っていた制作会社やアニメーターが、独り立ち出来るほどの実力をつけ始めている。このままでは、日本の地位が危ないのだ。 アニメーターや技術者の不足が深刻化している一方で、業界としては中小規模の会社や個人単位が依然として多い。しかも元請会社や放送局等との関係で、下請会社もフリーのアニメーターも発言力が弱い。個性的な創作活動の範囲を狭めない工夫をしながら、資金力を持ち著作権保持もできる大手企業だけでなく、制作を担う人たちも対等なビジネス関係を築く構造改革を今こそ断行しなければならないだろう。それには、これまでは団結して制度的な改善を要求してこなかったアニメーターたちも意識を変える必要がある。また、アニメ制作会社だけでなく、アニメ作品権利で利益を得る周辺業界も含む「アニメ業界」全体として、就労形態に関わらずアニメーターや技術者の生活を保証し、彼らの貢献に応じた利益を受益できる制度、さらには現場のスタッフが技能を上達させ、独自のアイデアを企画化できるような環境を確立するべきであり、行政もその流れを後押しするべきであろう。(つづく オフィスH〈あっしゅ〉伊藤裕美) ★アニレポ編集部より 掲載の図は、有原誠治氏の作成したものです。「原画マン1日2カットの作業量は少なすぎるのでは?」との意見があります。作成した有原氏も少なめに見積もったそうです。理由は「原画マンなり立ての新人も含めた作業量として見積もった」のだそうです。みなさんは、1日平均どれぐらいの作業量ですか? 肝心なことを書き漏らしました。このアニメーターたちの仕事は、テレビアニメだけでないこと。映画、ビデオ、ゲームなどもこなしつつテレビ番組を支えているということです。 < 前のページ次のページ >
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