アニメの制作費を引き上げるため、1991年と1992年に行われた通称・銀座デモ。声優・アニメーター・美術・仕上・アニメ下請経営者・一般視聴者らが参加しました。
当時の切り抜きがさらに出てきました。あれからほぼ20年がたち、当時の事を知らない若いスタッフも多いのではないかと思いますので、ここで紹介します。
一般の方にはわかりづらいかもしれませんが、アニメーションの製作/制作過程は、大きく以下の2つに分かれています。
●著作(財産)権を持つ製作者、つまり、スポンサー(おもちゃ会社など)・広告代理店・テレビ局・出版社など、出資企業で構成された
「製作者・製作企業」(製作委員会・projectなど)
●製作者(製作委員会など)からアニメーション制作を発注され、実際に作品を制作、製作者に納品し対価を得る
「制作者・制作現場」(元請会社・下請会社・フリースタッフなど)
1971年以降、著作権法(映画に関する部分)では、それぞれ
「製作」と
「制作」の漢字で使い分けで区別するようになりました。
後者の「制作」に従事する人の大部分(約90%)は、著作(財産)権を持たない、その場限りの使い捨て労働です。制作費が安いため、零細企業は365日自転車操業。何十年間も、労働基準法・最低賃金法の非遵守を国が黙認してきました。
一方、著作(財産)権を持つ「製作者・製作企業」は、作品複製や、商品化などの二次使用によって、無制限に利潤を得る事が可能です。しかしその利益は現場には還元されません。
多くのスタッフが参加する映画やアニメーションでは「最終的に誰が著作財産権を得るのか」について、かつての著作権法では曖昧でしたが、1971年、映画の著作権が、大手映画企業その他の圧力によって改定され、最終的に財産権が「製作者」に帰属する事が定められてしまいました。
デモに参加し、抗議声明をあげたのは、後者の、著作(財産)権を持たない制作会社・労働者・フリースタッフなどの「制作者」の方です。(新聞によっては「製作者」と表記されていますが、出資企業の製作者が立ち上がったわけではありません)。
要求の相手は、放送局や出資企業などの「製作者・製作企業」、現在の「製作委員会/project」です。
※最初の2枚は再掲載、3枚目は再トリミングしたもの、4枚目以降が新しく見つかった切抜きです。(ア点)
<デモコース>
1991年:東京都勤労福祉会館→中央区役所前→銀座中央通り→ブランタン前→数寄屋橋→土橋
1992年:日比谷野外音楽堂→外堀通り→銀座一丁目→水谷橋公園
↑日本経済新聞(1991.3.12)
↑赤旗(1991.3.13)
↑機関紙・民放労連(1991.3.20)
↑東京スポーツ(1992.3.17)
↑サンケイスポーツ(1992.3.16)
↑朝日新聞(1992.3.16)
↑東京新聞(1992.3.16)
↑読売新聞(1992.3.16)
↑映演共闘・民放労連関東地連 機関紙:こちら現場です(1992.4.8)
↑赤旗(1992.3.16)
↑赤旗(1992.3.19)
↑運動の盛り上がりを受け、アニメ制作現場の低賃金・長時間労働を国会で取り上げた、大阪3区・菅野悦子(すがの悦子)衆議院議員(1992.3.27 赤旗)
↑1992年3.15アニメデモ決算報告書※フライヤーは、複数の呼びかけ団体が思い思いに作成 ↓









関連記事:
・
「月収8万円ですよ」 1992年、アニメ制作現場の諸問題、ついに国会へ・
アニメーター1ヶ月の収入8万円・アニメ制作現場の諸問題、ついに国会へ (その2・1991年)・
<動画> 国会 アニメ制作現場の問題に関する 質疑の瞬間 4/24 ・
アニメ事業者による「番組制作費引上げ要求」幻の署名用紙、見つかる・
銀座アニメデモの資料から(1991年、1992年)・
声優+アニメーター+アニメ経営者らによる、現場制作条件改善を訴えた、幻の銀座アニメデモのビラ見つかる・
アニメーション集会・銀座デモへの準備・
くりかえされたアニメ労働者・声優・経営者らによるシンポジウム ・
マスコミで報道されないアニメ制作現場の窮状・都内でシンポジウム・
04年 11.30 “だれがつくるの?日本のアニメ” 集会の報告(1) ・
感動を呼んだ11.30アニメの集会 ・
昔の資料から (1990年・日本アニメーション協会発起人会) ・
消費者物価指数とテレビアニメ制作単価の、推移を比較する ・
放送レポート102号に見る 1990年代のテレビアニメ制作現場の実態 ・
アニメを含む労働組合、制作環境改善を求め民放各局に申し入れ その2・
「月収4万極貧アニメーター」 1990年、アニメ制作現場の証言 報じられる ・
アニメ含む各労働組合、都内TV局に制作環境改善を共同要請 今年初 ・
テレビアニメの絵1枚単価の値上げ 42年間でわずか100円 ・
アニメーション集会・銀座デモへの準備その2と、アフレコ延期のエピソード