アニメや食、インドなど8カ国に発信 経産省が先行事業(8.11 asahi)
http://www.asahi.com/business/update/0811/TKY201108110409.html
経済産業省は今年5月の「クール・ジャパン戦略」に基づき、1件あたり2千万~6千万円の委託費(税金)を補助し、海外で8兆~11兆円獲得を目指すそうです。
主に2000年以降、国のアニメ戦略が政府や経産省などで決められてから、たびたびこういう記事がメディアに露出します。
これらの記事を読まれる一般の方の中には、「アニメは儲かる」「アニメは景気がよさそう」「アニメはいつも国から援助金が出てうらやましい」「=だから日本のアニメはすごい」などと思われてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これら一連の国の動きやお金の流れは、実際にアニメーション作品を制作している「制作現場」とは、まったく関係の無いところで動いており、現場への還元は何一つありません。戦略の大元となるアニメーション作品を制作する現場では、何十年間も違法労働がまかり通ったままの状態です。
これらの政策によって作品の質が向上したりといった事もありません。むしろ2000年以降、安全な商品としての「日本アニメ」を海外に輸出するため、表現などの自主規制が多くなり、かつての日本のアニメーションが持っていたエネルギーやメッセージ性をうばう結果につながっています。2000年以降、一般の方から「なぜ今は、昔のアニメのような作品が作れないの」という声をよく聞きますが、作品であるアニメーションを、売り込み用の「商品=コンテンツ」に、国民の合意なしに法定義してしまったところに大きな問題点があります。
完成したアニメを利用して利益を得る事が可能な製作委員会に参加している企業は、新聞やテレビなど大手マスコミをも支える力を持った大手企業が多いですから、一般のメディアでは、その事について報道することはありません。原発の問題と同じです。
特に2000年以降、経済産業省の政策の恩恵を受けるのは一部の大手企業だけであり、作品制作に携わる大勢のスタッフの生活や保障は無視されたままなのです。
私たち労働組合では、アニメの番組制作費を、現在の1本制作単価平均1000万円から、憲法や最低賃金法、労働各法に照らし合わせて算出した額・2500万円への引き上げを要求しています。
国は、商品の売り込みより前に、商品を作った人たちの、労働時間・労働量に見合った対価(賃金・報酬)を、企業に支払わせるよう指導するのが先ではないでしょうか。