「日本アニメーション映画史」(山口且訓・渡辺泰:共著/プラネット:編/山辺誠三:発行/有文社刊/1977年発行/372ページ/2400円 ※現在廃刊)
この本には、日本にはじめて映画が渡来した
「1896年(明治29年)」から
「1977年(昭和52年)」までのアニメーションの歴史が、実にしっかりと網羅・記録されています。
「映画史」とありますが、テレビアニメーションをはじめとする商業アニメーションや、作家が作った自主制作アニメーション、江戸写し絵、千代紙アニメ、影絵アニメ、人形アニメ、CMアニメ、ポルノアニメ、ディズニーアニメ、アニメフェスティバル、さらには、アニメーション協会、労働組合(東映動画労組、映産労など)、作家の会、アニメ会社の活況・倒産・実験、戦時中におけるアニメーションの扱われ方まで、分け隔てなく、見事に並列して客観的に書かれています。
執筆の精神を含め、この本を凌ぐアニメーションの歴史書・研究書・資料集に未だに出会っていません。
筆者の記述する文や、そこに登場するアニメ関係者や制作エピソードからは、作品や人間に対する愛情、アニメーションに対する損得抜きの愛着が伝わってきます。
アニメーションの志す人、研究をされている方、すべての人に読んでほしい本です。
できれば、2000年以降に出版されたアニメーション関連の本を読む前に目を通してほしい本でもあります。2000年以降のアニメーションを取り巻く流れと、この「日本アニメーション映画史」に書いてある流れの、大きな違いが見えてくるかもしれません。
残念ながら現在、廃刊のままのようなので、図書館に行かないと手に入らないかもしれません。「アニメーション」を掲げている大学や専門学校であれば、学内に一冊はあるはずです。(「マンガ・アニメ」という看板を掲げている学校には無いかもしれません。)
日本のアニメーションが、明治から70年代まで、どういう経緯を経て変化・変容してきたのか。多くの人と一緒に考えていければと思います。(ア点)