日本映画の中にはまだまだDVD化

されていない作品がたくさんあります。特に自主製作作品などがそれです。例えば「あヽ野麦峠」(1979/監督:山本薩夫/出演:大竹しのぶ、地井武男)を製作した新日本映画社作品、「翔べイカロスの翼」(1980/監督:森川時久/出演:さだまさし、原田美枝子)などを製作した翼プロダクション作品などは、たぶん1本もソフト化されていないのではないでしょう

か。
そんななかで、貴重な2作品がDVD化されました。
「千羽鶴」(1957/監督:木村荘十二)は、広島で被爆して10年後に原爆症でなくなった少女・佐々木禎子さんと、彼女のクラスメイトたちの奮闘によって建設された原爆の子の像設立を、その設立運動の最中に撮影した映画。オール・ロケーションによって当時の実景の記録としてもたいへん貴重です。問い合わせ先は
共同映画株式会社
「歩く」(1975/監督:板谷紀之)は、1975年に行なわれた被爆30周年国民平和大行進の記録。監督は映産労元副委員長でもあり、映画「教育は死なず・巣立ちのとき」、テレビ「コメットさん(1967年版)」はじめ、「おこりじぞう」「とびうおのぼうやはびょうきです」などのアニメーション作品も監督した故・
板屋紀之によるドキュメンタリー作品。絶妙なカメラ、テンポの良い編集もみどころ。音楽は「同胞(はらから)」(1975/監督:山田洋次)の岡田京子氏。問い合わせはアニメ・レポート編集部まで。(アドレスはブログ左の中ほどにあります)。
映産労が1970年代に自主制作したアニメーション「つるのすごもり」もソフト化されていませんが、コンテンツ文化史学会の会報
「コンテンツ文化史研究」(vol.5/第5号/2011.4.29発行)に収録されている「アニメ撮影の魔術師・八巻磐氏インタビュー」では、少しだけ「つるのすごもり」について触れられています。「鉄腕アトム」(1963年)にはじまり「幻魔大戦」「カムイの剣」など数々の名キャメラを手がけた同氏による貴重なエピソードと当時の資料写真が魅力的です。ほかにも「趣味文化研究の作法」「聖地巡礼の理論的考察」など興味深い記事が満載。コンテンツ文化史学会のホームページはこちら>
http://www.contentshistory.org/