1985年 共産党後援会がアニメスタッフと連携 幻の都議選アピール発見

　（注：1985年のものですが、選挙期間中を配慮し、文字が読めないサイズでアップしています。）　　　　　　　　　　

村野守美氏、近藤喜文氏、金田伊功氏の名前も。国家機密法に国民が猛反対　80年代

　倉庫を整理していたら、昔の資料がまたいくつか出てきました。歴史を知る上でも貴重な資料だと思いますので、少しずつ、アーカイブのカテゴリーに記録していこうと思います。

　1985年、いわゆるタカ派とよばれる中曽根内閣の時代。国家の秘密を漏洩した者を、死刑、もしくは無期懲役にする「国家機密法」（略称：スパイ防止法／正式名：国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案）（※1）が、自民党から議員立法として提出されました。
　これに対し、当時の野党：日本社会党・公明党・民社党・日本共産党・社会民主連合などは断固反対の態度を表明、審議拒否などで抗戦（ウィキペディアより）。言論・通信・報道の自由などを訴える広範な市民の間にも大きな反対運動が巻き起こりました。（ちょうど今の脱原発の流れと似ているかもしれません）。
　1985年・第102通常国会で、自民党議員により衆議院に議員立法として提出された「国家機密法」は、国民や野党の大反対を受けて、第103臨時国会で審議未了、廃案となりました。

　このとき、日本共産党後援会（共産党の支持者による組織：正式名「日本共産党を後援する東京の子どもの教育と文化の会」／事務局：渋谷区千駄ヶ谷）の中にある「アニメ後援会」は、東映動画（現・東映アニメーション）、虫プロダクションなど、都内に散在するアニメーション制作会社、下請会社に「国家機密法反対、核兵器廃絶を中心とするアピール」を呼びかけ、77名が署名に応じました。1985年7月2日、同後援会は、77名の賛同署名とアピール文を発表・配布しました。

　署名には、故・村野守美氏、故・近藤喜文氏、故・金田伊功氏をはじめ、国民的人気を誇るテレビアニメの監督、演出、作画監督、原画、動画、美術、仕上、撮影、編集など、多くのアニメ・スタッフが実名で署名、風刺イラストなども提供されました。
　アピールと賛同署名は、アニメーションの各会社、制作・下請スタジオに人海戦術で一斉に配られました。（まだパソコンやインターネットが普及していない時代でした）。労働組合の力が強かったアニメの会社では、社内に張り出されていたともいいます。当時の政治とアニメーショ制作現場のつながりを示す貴重な資料の一つといえるかもしれません。

　なお、この「国家機密法」は、民主党政権・野田内閣の「秘密保全法制」をはじめとした、ネット・放送・言論規制に受け継がれています。　（記事担当：ア点）


※以下資料：アピール文書き出し　※1985年のものです
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国家機密法に反対し核兵器廃絶のために都議選での日本共産党の躍進を訴える　アピール

　子どものためアニメーションの制作にたずさわる私たちは、よりよい作品づくりのためには、表現や創造の自由が何よりも大切なものと考えます。
　しかし、政府・自民党のたくらんでいる「国家機密法」は、スパイ防止を口実に、国民の表現・創造の自由と民主主義を根底からくつがえすもので、とうてい容認できるものではありません。
　私たちは「国家機密法」の制定に断固反対します。
また、戦後40年、被爆40周年を迎え、核兵器廃絶と平和への願いをあらたにしています。
日頃、テレビ番組や映画の制作にと仕事に追われ、社会的な発言や活動もままならない私たちですが、この歴史的な東京都議選において、平和と民主主義を守る先頭にたって奮闘する日本共産党の躍進をここから願うものです。
　そのために私たちも微力を尽くす所存です。
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（※1）…この翌年に公開されたスタジオジブリ製作「天空の城・ラピュタ」（金田伊功氏も原画頭として参加）のクライマックスに、「スパイ狩りだ」という台詞が出てきます。日俳連の声優の永井一郎氏が、ひときわ力を込めて台詞を発していたのが印象的でした。


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