戦前や戦後の労働運動の経験の上にたち、「映産労」が創立したのは1965年。私は、1983年に組合に入りましたので、それ以前の事は直接知りません。
日本の映画の自主製作運動には、様々な歴史があります。しかし、この「アニメの自主製作運動」を簡単に説明するとすれば、「アニメ界の現状に満足できない、それなら自分たちの手で作品を作ろう」という事であると思います。
このアニメ映画「つるのすごもり」は、16ミリ・18分。1971年、読売ホールで公開されました。
平均年齢21歳、延べ参加人員80名。アニメーションの現場で働く技術者達が自ら、本格的に完全自主製作したアニメ作品は、もしかしたらこれが初めてかもしれません。
「日本アニメーション映画史」(有文社刊)などの文献によれば、「つるのすごもり」は、映産労の呼びかけによって、東京信濃町の旧労音会館の一室をスタジオ兼製作センターとし、東映動画(現東映アニメーション)、東京ムービー(現トムスエンターティメント)、TCJ(現エイケン)、虫プロ、竜の子プロ、Aプロ(現シンエイ動画)などで働く労働者達が、それぞれ勤務の余暇を割き、3年がかりで完成させた、と紹介しています。会社に内緒で参加した人が多かったらしく、スタッフロールには多くのペンネームが並んでいます。(演出・作画監督の斎藤和男は芝山努氏のペンネーム)。
当時、制作にかかわっていたスタッフの1人、故・近藤喜文さんが、当時を知る貴重な資料を大切に保存されていて、それらを組合に寄贈して頂いているので、その一部をご紹介します。尚、映産労では「つるのすごもり」唯一のノーカット版上映用プリントを保存しています。
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↑自主製作の呼びかけ文の1枚目。他にも多数の参加呼びかけのチラシなど(全て手書き・手作り)があります。
↓夜間や日曜日を利用して制作を進めていった様子が伺える「巣ごもり通信」(2枚とも、原版はB4サイズのわら半紙にガリ版印刷)