「翔べ!イカロスの翼」(製作:翼プロ)など、自主製作映画の中には、プロデューサーの意向でソフト化を一貫して拒んできた作品群が多く存在する。映画は劇場で見るものという初志貫徹の精神が伺える。
そんな幻の作品「翔べ!イカロスの翼」のDVD化に続いて(ユーキャンで発売)、やはり一切商品化されなかった「あゝ野麦峠」(製作:新日本映画社)が4月にDVD化されていた。
この映画は、日本が生糸産業と、未成年女子劣悪労働などを利用し、軍国主義にのしあがっていくさまを描いている。日本が戦争に突き進んでいくさまと、生糸工場の超劣悪労働が交互に映し出されていく。
ちなみに、本作の続篇「あゝ野麦峠・新緑編」(こちらの製作は東宝)では、糸取り工女たちの労働争議が真っ向から描かれており、製作前から東宝に「争議のシーンをカットするように」などクレームが付けられていた。しかし東宝争議経験者でもある監督の山本薩夫監督は、かまわず争議のシーンを全面に押し出し、こちらは今でも、一切商品化されていない。(1作目は2回、2作目は1回テレビ地上波で放映されているが、1回目の放送の時は、日本の軍国主義化を説明するドキュメンタリーシーンがすべてカットされていた)。