動画チェックって、どんな仕事?
動画チェックという仕事があります。とても大切な仕事で、しかも大変な仕事です。
セルアニメーションの世界で、アニメーターという職種は動く絵を描いて表現するのが仕事です。そしてアニメーターは、原画マンと動画マン、大きく二つの職能に分業されています。
原画と動画
原画マンは、カットに必要な時間に沿って動きや演技のキーとなる原画(下絵)を描き、原画を時間にそって配置します。つまり動きや演技のデザインをするのが原画という仕事です。したがって、原画マンは動く絵を描くことに熟達している必要があり、数年以上の動画マンとしてキャリアある人でなければ原画マンになれません。
動画マンは、原画マンの描いたカットを受け取り、その指示に従って原画と原画の間の絵を描き埋めて、きれいな線で整えて動画を仕上げます。
むかしの動画チェック
原画と動画が、同じ屋根の下で机を並べている場合、動画の仕上がり具合のチェックはその原画を描いた原画マンがチェックしました。原画マンがチェックする間、動画マンはその脇に立ち、原画マンのチェックを見つめます。原画マンは自分の意図した動きや演技が正しく表現されているか否か、もしくは自分のデザインが正しかったか否かチェックし、悪かったら修正を加え、動画マンにも修正を指示します。動画マンは自分の解釈や表現が正しかったか否か、原画マンの意見を聞きます。そうした動画チェックの機会を通じて、原・動画相互の職能を磨くことができました。特に、動画マンを一人前のアニメーターに育てる機会になりました。
いまの動画チェック
ところが、1960年代後半から大手製作会社が人減らしをし、アニメーターたちが下請けプロダクションやフリーで仕事をするようになり、70年代に入ってさらに海外で動画を短期間で仕上げるようになると、動画チェックの仕事は原画から独立した専門の職能になってしまいました。
韓国や中国から大量に戻ってきた動画を、または下請けプロダクションやフリーの仲間の仕事を、原画の指示通りに仕上がっているのか否か。着色や撮影がちゃんとできる動画になっているのか否かをチェックし、出来の悪いのは修正をします。原画や動画に精通し、きめの細かい仕事ができ、しかも粘り強さが要求される職能です。
動画が動画チェックに回ってくるときは、だいたいが差し迫ったスケジュールとなっています。しかも、何千枚と大量です。海外から仕上がって来るものは夕方から夜が多く、遅出で深夜時計を睨みながら、徹夜で裁いて仕上げるなんてこともしばしばです。そのため、体調を壊したり腱鞘炎になったりする動画チェッカーもいて、なかなか過酷な仕事です。(A)