その6
はじめての番組制作費の値上げ陳情書
テレビアニメの受注競争と製作費の慢性的な赤字に苦しむ大手製作会社は、アニメーターなどのスタッフを社外に追い出し、人件費の削減と下請合理化、海外発注制作を推し進めるのですが、それでも経営が思わしくなく、東京ムービー、東映動画、ТCJ、竜の子プロ、虫プロの6社が参加する日本動画製作者連盟(67年結成)は、73年3月に「テレビ動画番組制作費に就いての陳情書」(図)をテレビ局に提出しました。(図は、クリックすると拡大します。32年前の資料で読みにくいですが、実に興味深い内容です。)
その陳情書では、アニメ業界の窮状を次のように訴えています。
「受注価格はこの数年間据え置きの状態と申せます。もとより各社とも不断の経営努力をつづけており、諸経費の節約、生産性の向上などの合理化を計り、極力コストのアップカバーにつとめて参りましたが、経営収支の赤字は月ごとに累積し、今日におきましては、如何様の手段を持ってしても経営の悪化を防ぎとめることができない次第であり、このまま推移いたしますと我々動画番組制作業者は自滅せざるを得ぬ、苦境に立ち到っております。
なにとぞ窮状御賢察を賜り、現行受注価格を少なくとも「30%の増額」に・ ・・・」
この陳情は、旧・虫プロダクション倒産の9ヶ月前でした。(つづく)