その(6)
この内容は、映像新聞(2005年1月17日、24日、31日)に連載されたものです。執筆のオフィスH(アッシュ)の伊藤裕美さんと、映像新聞社のご協力に心から感謝します。
◆人件費の安い海外へ
外注は国内に留まらず、より人件費の安い国外へと向かった。第一動画は67年に『黄金バット』で韓国への外注を始める。70年代始めには、韓国で東映動画が、台湾で東京ムービーがアニメーターやプロダクションの育成を始める。時代は進み84年に、東映動画がフィリピンを外注先とする。フィリピン資本の商社内に作画、トレース、彩色の部門を設立し、5、6年間共同事業をした後に、フィルピンの外資自由化を受けて、全額出資の子会社としてフィリピン東映を設立。絵コンテと原画だけを日本で行い、作画や仕上げはフィリピンへ出すようになる。現在では、中国、インド、マレーシアも日本の元請会社の外注先に名を連ねる。
有原氏によると、今では中国の無錫市にはフリーのアニメーターが1000名ほどいて、1晩に1万枚、1日に3万枚の動画・着色が可能とされる。20~100名程度を抱えるプロダクションもあり、動画チェックができるアニメーターやペインターが雇用されている。制作管理費込みの発注単価は、動画一枚140~150円、仕上げ一枚100~120円。ちなみにアニメーターが受け取る単価は4元、60円ほどだという。国外発注の事情通によると、一枚単価ならば中国の方がまだ安いが、海外へ出す経費は一枚当たり100円程度かかる。国外発注が国内より低価格だからでなく、放送に穴を開けないために、短時間で大量の作業が可能な中国等へ依存せざるを得なくなっているのだ。

テレビアニメの放映本数は増減を繰り返しながらも、74年にズイヨー映像(現日本アニメーション)の『アルプスの少女ハイジ』が大ヒットしてから増加し週20本台となり、98年には週45本を超えた。2000年の地上波デジタル放送開始、ブロードバンド配信など新しいメディアの登場、『ポケットモンスター』の世界的ヒットで重要産業という政府のお墨付きが追い風となり、ついに週80本、2005年には100本に迫る勢いで急増している。業界通によると、制作費の上昇はそれに伴わない。制作本数だけは急激に上昇し、現場の労働改善が早急に改善されなければ、早晩破綻が訪れるであろう。(つづく オフィスH<アッシュ>伊藤裕美)
★アニメレポート編集部より
中国で動画一晩一万枚の件は、1月6日掲載の「いま制作現場でおきていること」の頁にくわしく紹介してありますので、そちらをご参照ください。

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