最終回
このシリーズは、映像新聞(2005年1月17日、24日、31日)に連載されたもので、この回で最後です。ご愛読、ありがとうございました。また、掲載を快諾してくださった執筆者の伊藤裕美さん(オフィスH〈アッシュ〉)と、映像新聞社のご協力に心から感謝します。
◆投資家から資金調達

政府が推進するアニメ振興策の目玉とされる、投資家からの製作資金調達方法は歓迎すべきことである。不動産担保に乏しい制作会社は金融機関から融資されにくいため、将来作品の債券化や完成保証制度等が整備されれば、状況が変ることに期待が寄せられている。しかし投資家は、できるだけ少ないリスクで高いリターンを期待するのだから、“当たりそうな”企画が好まれ、結果として同じようなものに資金が集中することになるのではないだろうか。
たとえば、キャラクター玩具などのライセンス商品化が難しいものは門前払いされ、斬新なアイデアでもヒット実績がなければ投資対象から外されることを心配する声は強い。また、作品の著作権保有と利益シェアが可能な製作委員会に参加する場合や新しい市場へ進出できる国際共同製作などの場合に中小の制作会社は応分の分担金を担えないことがある。あるいは、企画段階で必要となるプリプロダクション経費は投資対象にされにくい。結局、資金調達力がある企業や過去のヒット作の続編やリメークなどの企画へ資金が回り、資金の偏りを根本的には改善できないのではないかと懸念する。ヒット傾向のものでも、二番煎じ・三番煎じが続けば市場に飽きられる。多様性がなくなれば、創作の活力も失われる。アニメーション事業者協会の伊藤叡代表なども、新しいアイデアを潰さないために企画段階から支援できるような方策を求めている。フランスではCNC等の公的機関がその役割を担うことで、フリーのプロデューサーが活躍できる場を担保している。優秀なプロデューサー候補を育てても、機会を提供しなければ、人は早晩去っていく。
テレビアニメが誕生して、今年で42年となる。人間であれば青年期を過ぎ熟年期に差し掛かる年齢である。構造的な問題を早急に改善し、世界に誇れるアニメーションの花を枯らすことなく、これからも咲かせ続けて欲しいものだ。
(オフィスH 伊藤裕美)
★右のマンガは
アニメーターの青井スミレさんです。

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